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コミュニケーション診察室第6回

自発性の育成

中部経済新聞
自発性を育てるには、考える習慣をつくることはとても大切なことです。
コーチングは、質問型の対話を通して、相手の気づきを促し自発的な行動を引き出していきます。「教える」のではなく「自ら考える」ことを大切にし、発想や意欲を引き出す目標達成のためのコミュニケーションの手法です。
磨くべきところは質問力、傾聴力ですが、ここで忘れてならないのは、「なんのために」これをやるのかという目的の共有です。

先日、こんなことがありました。講師のご依頼をいただき、ご担当の方から「上の者から一度ご挨拶に行くように言われたので、お忙しいと思いますがお時間いただけますか?」というご連絡をいただきました。せっかく良いことをしているのに、「もったいない!!」と思うのです。

今回の事例でいえば
「目的」は、参加者の笑顔のために満足度の高いセミナーを開催すること。だとしたら、
目的を果たすための手段のひとつとして上司が考えたのが、講師に直接会って挨拶し、趣旨内容や段取りを伝えて事前交流することです。

人が自発的に動くには、自分で考え、自分で選択し、自分で宣言し、自分で行動するのが一番効果的です。

命令型コミュニケーションを質問型コミュニケーションに変えてみます。
【命令型】上司「1週間以内に、講師に挨拶に行って来い!」→部下「はい・・・」
会話は早く終わりますが、部下の立場になると何のために行くのかが不明なままです。
【質問型】上司「今回の目的は何だった?」→部下「参加者が笑顔になって満足度の高いセミナーにすることです」
上司「そうだね、そのために事前に準備できることはどんなことがあるかな?」→部下「運営側と講師が仲良くなり目的と笑顔を共有することです」
上司「いいね、具体的には?」→部下「事前に、講師と会うか、メールか、電話で・・・」上司「今回はどうしたら一番効果的かな?」
上司「いつ頃が一番理想的かな?」
上司「いいね!その日までに準備することは?」
と、質問を繰り返していきます。部下が返事に困っていたら「目的」を確認するのです。
目的確認を忘れると、上司の顔色を見て「いい答え」を見つけようとしてしまいます。

もしも、あなたの部下がやらされ感にあふれているなら「なんのために」これをやるのか、「どうなるのか」イメージできていないまま指示だけされているという可能性があります。
人が自ら考える習慣をつけるためには、上司側の「問いかける習慣」「聴く習慣」が大切です。自分の部下から、自分にもないような発想や意見が出てくる日をイメージしながら「聴く習慣」をスタートしてみませんか?次回は「聴く」ことについてお話します。
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