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コミュニケーション診察室第10回

個を活かすしかけ

中部経済新聞
前回の「認められたいという欲求」について、たくさんの反響をいただきました。
照れくさくて、今さらほめたり認めたりできないというお声もありましたので、今回は「承認」について、職場でどのように活用してくかの事例をお伝えします。
今回は「個」を前面に出すことと「個のアイデア」を見える化していくことです

会社で、自分の存在を実感するには、「個」を出していくことが有効です。社内報やパンフレットで社員紹介をしたり、ホームページにプロフィール写真を掲載したり、商品やプロジェクト名に社員さんの名前をつけてしまうことです。最近では「高木さんが丹精込めてつくったトマト」などのネーミングは店頭でも見かけますよね。「顔」や「名前」はだれにとっても、たった一つの大切な自己を確認するもの。顔や名前が出るということは、責任感や遂行力の意識も意欲も高まります。

名前や顔が出ることで、電話で話していても、会ったときにもお客さまにとっても安心感があります。会社側がはじめに自己開示しているため、お客様も心を開きやすくなり、コミュニケーションのミスは起きにくくなり、トラブルも少なくなります。「見える」ということは、安心で安全なことなのです。

もう一つは「個のアイデア」を見える化することです。
全体のコンセプトからはじまり、キャッチコピーからネーミングとプロジェクトひとつとっても、多くの人が関わっています。しかし浸透するにつれ、上司の手柄になっていることもよくあります。一人ひとりの貢献がわかりにくければ、プロジェクトメンバー全員の名前を公表したり、「この部分は、○○くんのアイデア」など、見える化することが大切です。名前を公表されることで、人はお金では買えない対価を得ることができます。これは心のエネルギーとなり、自分の存在理由になり、成長し続けなければならない理由となっていきます。
つまり、当然得られるべき承認の機会を与えられるということは、費用をかけず社員さんの心を満たすことができるのです。

マズローの欲求段階説によれば、生きること、安全、所属したいという欲求が満たされれば、次に求めることは、そこで認知されたい、自分でなければならないという自我の欲求です。「個」を組織に貢献させられる仕掛けをつくることで、「不平不満を言う人」から「アイデアを出す人」にシフトしたいですね。
人は誰もが自分を活かし、充実した毎日を過ごしてみたいと、心の底では思っているのです。
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