中部経済新聞
ちょっとイメージしてみてくださいね。目の前にみずみずしいレモンがあります。包丁でふたつに切って、レモンの果汁をギュ~ッと絞ってみてください。あぁ、なんだか「すっぱ~い」という声とともに唾液が出てきそうです。私たちの脳は実際に起きたこととイメージしたことの区別がつかなくて、イメージしたことや感じたことは体に作用します。実際に起きてもいないことも、想像して不安になれば体は硬くなります。
人の自発的行動を妨げてしまう要素を聞いてみると「行き詰まった」「心が折れた」「やり尽くした」「否定された」などがあります。
よく考えると、すべては気持ちの問題なのですね。
そこで大切なのは、部下に対して「別の視点」「新しい視点」に気づかせてあげることです。
① 未来をイメージする
リーダーに長期ビジョンがあったとしても、それを共有できていなければ、部下にとって目の前の事は「苦しい作業」になってしまいます。
×「苦しいのはみんな一緒だ!とにかく売ってこい!」
○「もしも、この○○が全店に導入して頂けたら、パートさんたちなんて言って喜んでくれるかな?」
② 現状を俯瞰する
仕事が多すぎて何から手をつけていいのかわからない、片っぱしから手をつけて動けなくなっている人には、自分の姿を客観的に見てもらいます。
×「なんで、全部中途半端にしかできないんだ!?」
○「今の自分の状態を、天井のあたりから見てごらん、自分になんて言ってあげたい?」
③ 学習する
どんな失敗も結果、いい経験でありおかげで成長できたということも多いはずです。
×「終わったことは忘れて、とにかく黙ってやれ!」
○「今回のことで、学んだことは何?」
「今後、それをどう活かしていったらいいんだろう?」
④ 立場を入れ替える
お客さんに叱られてしょんぼりしている部下に対して、叱られたことではなく、問題の本質にしっかりと目を向けてもらいます。
×「なんで納期が間に合わないことを、お客様に事前に伝えなかったんだ!!」
○「お客さまが本当に伝えたかったことは何だと思う?」
「だから、これは○○ということだろ!!」と教えてしまえば、それは「上司の視点」であり、指示命令として伝わってしまい、恐怖によるやらされ感になることも時にあります。
視点がかわることで行動が軽やかになれば結果も違ってきます。リーダーの役割はその環境ときっかけを与え続けることなのかもしれません。しかし、この対話の継続がリーダーにとっても修行なのです。
「今日、あなたの部下になにを問いかけてみたいですか?」