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心を届けるハグニケーション第3回

大切なことに気ずかせてくれたハグの力

きぼう新聞
私がどうしてハグニケーションを伝えているのか、その思いの原点は家族にあります。
結婚して15年目のある日、何の苦労もなく過ごしていた私にとって大きな出来事がありました。
それは突然の夫の末期ガンの告知でした。
「手術はできません、 放射線治療もできません。 いい状態を長く続かせるための 延命治療しかできません」

医師から最悪な宣告をされた翌日、夫は、当時小学生だった息子二人を呼び、病気の話をした後
「お前たちはついてる、ラッキーな子だよ。」と話しました。
続けて「小学生で親がガンになるなんて、 誰でも経験できることじゃない、 お前たちは強い子になるんだ。 パパも戦う姿を見せるから お前たちはママを守ってほしい」そう続けました。
 
その後、私の両親に「ご迷惑をかけて申し訳ござません」と手をついて謝りました。
人は究極のとき、その人間性が出るといいますが、夫の姿を見て自分にはいったい何ができるんだろうと考えました。

病気の告知から、何かしなくてはと始めたことのひとつが、私がいつも笑顔で家族の太陽となることと、家族にハグをすることでした。
当時小学4年、6年の息子たちに、ある朝階段の下で待ち構えて、手を広げてみました。次男、眠たそうに私の腕の下をすり抜けていきました。長男も同様にすり抜けていきました。2日目、3日目・・・やっぱりハグしてくれません。思春期真っ只中のふたりです。「もうハグしてくれないのかな」そう思いながら4日目、「どうしたらハグしてくれるんだろう」そう自分に問いかけてみました。私、ハグすればいいと思ってたな、そのとき浮かんだことは「これからいろんなことがあると思うけど、何があったとしてもママが一生ふたりを守る!」でした。言葉にしたわけではありません。4日目同じように手を広げると次男は私の腕に飛び込んできました。
それを見ていたわけではないのですが長男も飛び込んできました。
家族のためにと始めたハグや笑顔、言葉のハグ・・・。家庭の中でのハグニケーション活動は、結果自分がとても元気になれるということを実感しました。

家庭に太陽のように明るい存在のお母さんがいる、企業内にお母さんのような安心できる女性がいるということは組織の安心感、活性化にも大きく貢献します。
成長戦略の「女性の活躍」の取り組みも盛んですが、職場の女性のもう一つの役割として、その優しさや母性を活かせることだと思います。若手の新人さんに「ちゃんと野菜食べてるの?」「ネクタイ上手にできるようになってきたじゃない!」と、いい意味で、お母さんのような存在がいる職場は、じつは何とも言えない安心感があるのです。
脳は自分に言ったのかそれとも目の前の人に言った言葉なのか、話した言葉の主語を理解できないそうです。だから思いがなくても、言葉だけでも「ありがとう」「助かるよ」そんな風に感謝やねぎらいの声かけをしていると不思議と自分が元気になるんですね。

わたしは「生きているからこそ、目の前にいるからこそハグすることができる」ということを知っています。私は背中で父親のように生き様を見せ、ふりかえって母として抱きしめる、私はこれからもそんな生き方にチャレンジしていきます。
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