きぼう新聞
身内の夢と他人の夢、現実として受け止めたとき、自分への影響も大きいため受け取る側の気持ちは違うものです。
4年前のある日、私の中2の長男は学校へ行かなくなりました。
当時は父親を亡くして半年のころです。
「悲しいんだろう、傷ついているんだろう」
まわりにも言われ、私も少しそう思っていました。
当時の気持ちを自己分析すると、「義務教育なんだし中学くらい行ってほしい」
という期待が自分の中にあることに気づきました。
私は「信じて待つ」という決心をしてから、息子と笑顔で向き合い2週間が過ぎました。
そんなある日、息子の口から出た言葉は、なんと「夢ができた」でした。
意外な言葉に驚きながらも、ミュージックコンポーザーという職業について、目をきらきら輝かせて話す姿を見てどんなことがあっても彼の夢を応援しようと決めました。
彼が仕事について調べたところ、高校、大学を出て憧れの会社に就職するのが王道だが、中学生でも今そのスキルさえ身につければ、一足飛びにその仕事ができるとネット上に書かれていたそうです。
「今すぐやりたい、学校へ行って関係のない勉強をしていると大人に置いていかれる・・・」
そう思い立ち、すぐに独学でひとり勉強を始めていたのです。
私にできることは、あこがれの人の行動を真似る「モデリング」から、まずはその職の人を探し
息子の話を聴いてもらいました。
そして、音楽に関わる職種はとても幅が広いこと、大人になるまでに選択肢の幅を広げることの重要性、何より「たくさん遊んだらいい」などと話してくださいました。
人は憧れの人に言われるとすぅっと耳が開くのです。
話し終えたとき、息子は自らの意思で高校へ行くという選択をしていました。
人はどんな状況でも夢を描くことができます。そしてその思いが強くなると迷いがなくなります。
話した翌日から、中学を卒業するまで一度も学校を休むことなく通い、今は夢に向かって音楽活動をしたり、大学の音楽科で勉強したり楽しく忙しそうな毎日を過ごす大学生になりました。
思えば、あの日以来、私も「勉強しなさい」とは一度も言わなくなりました。
最近になって、「あの時、お母さんが信じて待ってくれたから話せたんだ。あの時怒られてたら、
いまだに同じところで止まってたと思う」
そう言われました。
私は憶測で判断することがいかに時間の無駄であり、危険な事かもその時実感しました。
相手の中から「やりたい」や「本当の気持ち」を引き出すことの重要性も再認識しました。
それを邪魔していたのは、親の時代外れな期待でした。
人の本当の気持ちは、本人に聞いてみないとわかりません。しかし、その夢や可能性は一番近くの人が砕くとも言われています。
彼の「やりたい」は高校生ながらに、音楽をつくり、広めるためのブランディング、ウェブ戦略、集客、物販のためのマーケティングと経済活動で必要な事はすべて独自で模索し結果を得るという機会を得て、体験することができたのです。
多様性が叫ばれ、絶対というものがないこの時代、夢を話したときから、それは一人の夢ではなくなり知恵やアイデアが集まります。信じてくれる人、応援してくれる人がいると、継続することができます。次第に経験が増え、力と自信がつきます。
目まぐるしく時代がわっていく現代、どんな事業も誰かの夢から始まっているものです。たまには、ゆっくりと大切な家族や仲間の夢を聴いてみませんか♪