中部経済新聞
相手を認める行為「承認」を、なかなかできない要因の一つに、「自分が満たされていない」ということがあります。人は自分のコップが空っぽなのに、なかなか人のコップに水を注ぐことはできません。人を承認することのできるリーダーは、物事を肯定的にとらえ言葉にしています。楽しい人のまわりには楽しい人や笑顔が集まり、結果その人のまわりは「承認」であふれていきます。
社長塾に参加されていた方で、誰に対しても「○○がいいねぇ!」「あんたは○○がすごい!」と、いつも声をかけてくださる方がいらっしゃいます。
その方は、勉強会でも最年長でありながら、いつも一番に会場に来て運営の手伝いをしてくださり、人に声をかけ、場を盛り上げてくださいます。
出会う方々を「すべて師」とし、メールの最後には必ず「今後ともご指導よろしくお願いいたします。」と書いてあります。
わずかの会話を通して、「どういう言葉をかければ」相手の「元気が出るのか」「心を満たすこと」が出来るのかをいつも考えていらっしゃいます。
ご自身のお話で、お嬢さまが小学校5年の時、不登校となった時期がありました。そんな時も3人のお子さんに「良かったねノート」をつけさせ、週末は一緒にお風呂に入り「今週の良かったね報告」をみんなに語らせて、すべてのことを「良かったね」につなげたそうです。
「娘、またすぐに学校に喜んで行くようになったんだよ」と話されていました。
一日の終わりに、「嬉しかったこと」「楽しかったこと」を振り返ることは自己肯定感を高めるのはもちろんですが、うまくいかなかった時にこそ
【~こそ、~できるから良かった!】とつなげてみます。
×「企画書が通らず作り直しになってしまった。時間が無駄になってしまった」
○「企画書が通らなかったから【こそ】、もっとわかりやすくて魅力的な資料を作ることが【できるから良かった!】」
出来事を肯定的に変換して言葉にしてみるのです。
職場では、日報や終礼を活用するのはいかがでしょう。何社訪問など事務的な報告と共に「よかった報告」をしてみる。また「こんな一言がうれしかった」「○○さんに感謝」など、言葉にすることで実感が深まり、人の気持ちも感じることができるようになってきます。
心の栄養は日々の会話や思考の習慣、環境や社内風土のなかで満たされていくのです
「今日の良かったね」は、どんなことでしたか?
この問いかけの習慣が、人を「承認」できる「ひと」をつくるのかもしれませんね。