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コミュニケーション診察室第5回

モデルとなること

中部経済新聞
リーダーの方々の話を聞くと、あるひとつの共通する悩みがあることに気付きます。それは、社員さんが入社する→育てる→成長する→優秀な人から辞めていく、ということです。

現場の声を聞いてきて、大切だと感じていることをご紹介させていただきます。それは、働く人がリーダーの人間性に惹かれていること。リーダーの「生き様」そのものに惚れこんでいるということです。
部下の心をつかんで離さない人には、たくさんのエピソードがあります。ある社員さんから聞いたお話です。酷暑といわれた年の夏祭りの日、商店街に店を構えるその店のスタッフKさんは、商店街の夏祭りでサッカーゲームを担当します。3人ほどで担当する予定がスタッフ不足となり、たったひとりで子どもの蹴ったサッカーボールを拾う、戻る、拍手をしながら粗品を渡す。これを炎天下の下、延々と続けていたそうです。子どもからは「ちぇ、つまんねーオモチャだな」と、捨て台詞を言われて、暑さと疲れもピークに達して体力も限界にきたころ、近くのテントから、楽しそうな声が聞こえました。
「うぁ~、上手上手!」「すっごいね~」「おっもしろいね~~」そこには、自分よりも20歳以上も年上の社長が、短パンにビーチサンダル、首から手ぬぐいをさげて、子どもたちを相手に、同じ目線になりきって心底楽しそうにカエルのおもちゃを飛ばすゲームをやっていたそうです。
その時、自分の小ささを実感し、それから何があってもこの人についていこうと思ったそうです。「高木さん、うちの社長ほど魅力的な人はいません。社長の人間力は自分が一生かけてでも近づきたいものなんです」と、話しながら思い出して涙を流すのです。
体力も気力もいわば限界状態のときに、ものすごい力を与えてくれたのが「社長の生き様」だったのです。
心理学における「モデリング」とは「この人のようになりたい!」と強く思うところからスタートし、話し方や立ち居振る舞いまで、真似てみることで、なりたい自分に近づいていきます。Kさんにとってのモデルがまさに社長だったんですね。

 コミュニケーションには、たくさんのスキルがありますが、私自身、何度も自分の心の状態や在り方を突きつけられる経験をしてきました。結局「だれが」「どんな思いで」コーチングするのかに尽きると実感しています。
誰かに質問しながら、話しながらいつも自問自答しています。
お客様、家族のためにと学び始めたものは、結局自分の成長に一番役に立っていました。
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