中部経済新聞
ある小学校で、お子さんに「ハグの宿題」が出たというお話しを聞きしました。
ハグの宿題のことを教えてくださったお母さんから、どんな事なのか聞いてみると・・・。
ある日、小学生のお子さんが学校から一枚のカードを持って帰ってきました。
そのカードには、一週間のカレンダーの下に○をつけるところがあって、
「お父さん、お母さんとハグをした日には○をつける」と書いてあったそうです。
お母さんは、
「あらまぁ・・・」
と思いながらも、一週間、毎日○をつけるために、毎日ハグをしたそうです。
「どうでしたか?」と、お聞きすると、
「じつは、毎日忙しくて、疲れていて・・・。
そんな私の姿を、子どもはどんな目で見ていたのかと
子どもの目線になって考えたり感じることができました。
また、何よりも、私がシアワセな気分になれました。」
と、話してくださいました。
この方は、子育てをしながら、若くして脳梗塞となり療養中のご主人と、病気のお義父さんのふたりを、ご自宅で同時に介護するという毎日を過ごされています。
自分の時間は全くとれず、笑顔も出ない毎日を過ごしていると言います。
ある病院のサロンにおじゃましていた時に知り合いました。
時間がない、心に余裕がないと感じていた毎日、「ハグの宿題」は大切な親にとっても、子にとっても大切な気づきと、ご自身の癒しをもたらしたようです。
学校に確認していただいたら
PTAの働きかけで始まったことだったそうです。素晴らしいことだと思いました。
子どもにとって、一番身近な存在である親から「愛されている」ことを実感できるということは、「生きていける」と実感できる事と同じくらい重要なことです。
親も人間なので、日々の生活の中で、疲れやストレスや不安などの感情が現れる日もあるはずです。そんな顔を見て子どもはどう感じているのでしょう。ほんの数秒、向き合い目を見てハグしたら安心感が生まれます。決して、甘やかして依存を引き寄せるためにハグをするのではありません。
ハグの素晴らしいところは、時間もお金もかけずに毎日「愛しているよ」「愛されている」を実感できることです。
抱きあげなくても自分で歩ける子どもや大人に対して、何のためにハグをするのかといったら、
その人の「ありのままに寄り添う」ためなのです。
子どもが本当にほしいものは、おもちゃでもお菓子でもありません。
親から愛されているという実感なのです。
もしかしたら、賛否両論あったかもしれない「ハグの宿題」は、実践した人だけが何かの気づきを得られる素敵な宿題だったのではないのかなと思いました。